「自然郷 山廃純米」合名会社 大木代吉本店(西白河郡矢吹町)
今月の日本酒 「自然郷 山廃純米」合名会社 大木代吉本店(西白河郡矢吹町)
山廃を楽しむなら、「自然郷 山廃」で
「山廃」は「やまはい」と読みますが、これはもともと仕込み方法の1つである「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」の略です。やがてこの方法で仕込んだ 酒もまた「山廃」と呼ばれるようになり、うちではその製法の名を、そのままお酒の名にしています。
大木代吉本店の「山廃」は「高温糖化酛」という手法で酒母をたてます。通常の酒母とは違い、蒸し米と麹、水を高温で糖化させ、甘酒 状にしたものからはじめるのですが、こうすることで、乳酸発酵がより安全で雑菌の入りにくい状態でできるため、その後の酵母培養がスムーズにいくというメ リットがあります。比較的暖かい地方での造りや、大吟醸などで用いられる製法です。
また、この製法だと余分なアミノ酸が出ないため、クリアーでみずみずしい味わいに仕上がります。アミノ酸は日本酒の旨味になるもので すが、なかには後味にイヤミにのこるアミノ酸もあり、これが多いと味がくどくなり嫌われます。この製法だとそういった余分なアミノ酸を自然と抑えることが 出来るんです。こうして搾り上がったお酒に一度火入をし、サーマルタンク(冷温できる貯蔵タンク)で一定の温度に保ちながらゆっくりと熟成をかけること で、さらにまろ味を引きだしております。
「自然郷 山廃」は、生酛由来のおだやかな乳性の香り、ほんのり甘めのアタック感と、のど越しにはみずみずしさを残した、現代の食事 にマッチするお酒を目指して造っております。ぬる燗でよし、軽く冷やしてもよし、それぞれに美味しく楽しめるお酒です。
山廃、と聞くと重い味という印象をお持ちだった方も多いかもしれませんが、是非、そうした方にも一度チャレンジして欲しい一本です。
また、山廃自体が初めてという日本酒ファンの方にも是非! 何千年という酒造の歴史の中で、先達が苦心し、改良を重ねながら育てられてきた生酛・山廃・速醸など、さまざまな製法に思いを馳せながら味わっていただけ ましたら、光栄です。
●紹介頂いた方 : 大木代吉酒造 営業 富山貴広
※「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」とは:
最も古い日本酒の仕込み方法である「生酛系(きもとけい)」の造りから「山卸」という作業(蒸した米、麹、水を混ぜ粥状になるまです りつぶす工程)を省いた(=廃止した)もの。「生酛系」は、空気中の乳酸菌を取り込んで造る、長い歳月のあいだに日本人が自然界の法則を巧みに利用して完 成させてきた酵母の純粋培養技術である。
・アルコール度数 16度
・使用酒米 福島県開発酒造好適米「夢の香」
・精白歩合 60%
・容器容量 1.8L 720ml
「自然郷」 合名会社大木代吉本店
西白河郡矢吹町本町9
Tel. 0248-42-2161 / Fax.0248-42-2162