ふくごはんの話
「ふくごはん」
それは、
あなたに知ってほしいもの。
それは、
ふくしまの思い。
ふくしまのごはんをめぐる素敵な物語を、あなたに届けたくて、
そうして始まった、小さな小さな、取り組みです。
平成23年3月の震災と原発事故のあと、
福島では、家族と離ればなれに住む人が増えてしまいました。
津波で家を失い、狭い仮の住まいの中で、バラバラになった大家族がいます。
避難しなくてはならなかった人、避難出来ない人、
避難した人、避難を選ばなかった人。
誰もが「福島を好き」、という気持ちに変わりはないけれど、
それぞれに距離感、温度差がある。
ごはんになら、その距離を、
少しでも縮めることが出来るかもしれない。
もう一度、つなぐことが出来るかもしれない。
「ふくごはん」は、そんな想いから始まりました。
ごはん、と聞いて、あなたは何を思いますか。
一日の終わりに、家族と囲む夕食。
笑いながら、みんなで食べたランチ。
誰かのために初めて作った、ぎこちない手料理。
たまに恋しくなる、実家の母の、あの味。
食卓をめぐる思い出にはいつも、幸せな笑顔があふれています。
例えば、家族が単身赴任をしていて同じ食卓を囲めなくても、
「ふくごはん」のサイトを見て、レシピを作れば、同じものを食べることが出来る。
家族は、
同じ空間をともに過ごし、同じものを食べ、
そして、同じ記憶が積み重なって、はじめて家族になっていくもの。
避難によって、いま福島を離れている人には、
福島の郷土料理や地元の酒、そして野菜を見て、
のんびりと感じてもらいたい。
そして、いまもなお福島に住んでいる人や、
福島とは直接関わりがなくても、
このサイトを見てくれた多くの人たちに、
福島の野菜や料理を通じて、食卓について感じ、考えてもらいたい。
ここに並ぶレシピには、そんな願いが込められています。
「ふくごはん」には、もう1つ、
レシピといっしょに、どうしても届けたいものがあります。
それは、レシピに使われる、米や野菜、酒をめぐるものがたりです。
どんな場所で?
どんな人が?
どんな思いをこめて?
その一つ一つを作っているのか。
同じ野菜でも、同じお米でも、同じお酒でも、造り手が変われば、味は違う。
造り手の顔を知っていると、同じものでも、いつもより美味しく感じてしまう。そういうちょっとした嬉しさを、
いっしょに届けたいと思っています。
だから「ふくごはん」では、
・福島の食材で作られたレシピ。
・その食材を育てあげた、造り手の姿。
そして、
・その造り手が暮らす、ふくしまの景色。
そんな3つの物語を、こっそりと、あなたにお伝えしたいと思っています。
「ふくごはん」の「ふく」は、もちろん「福島」の「ふく」。
そして、もう一つの意味は、
「幸福」の「ふく」です。
ここに並ぶレシピとものがたりがいつか、
あなたがさっき、「ごはん」と聞いて思いだした、
あの笑顔を生み出すような、新しいきっかけになれたらいいなと願っています。
ここに並ぶレシピとものがたりから、
どうぞ、あなただけの素敵な笑顔を、見つけてください。
2012年4月
ふくごはんプロジェクト