第4回 〜まっすぐ向き合うのが、美味しく育てるコツ〜 アスパラガス農家 星レエ子さん (南会津町)
南会津にお嫁に来て以来、農業一筋!のレエ子さん。持ち前の明るさに、日に焼けた笑顔。職人としての技術と、バイタリティ。苦労して も笑顔、辛くても笑顔。レエ子さんにとってはそれらも全て、明日への“肥やし”。常に全力で取り組む彼女の姿は、多くの仲間に気付きを与え、周りを引き込 んでいく。そして、農業が実に楽しく、素晴らしいものなのだということを気付かせてくれます。
Q. アスパラガス作りをはじめて何年になりますか?
A. もう30年近くになります。
私は、昭和41年に南会津にお嫁に来た時から農業を始めて、最初の頃は、お米や、ジュースなどの原料に使われる加工用のトマト を作っていたのですが、国の減反政策の流れのなかで、昭和57年からアスパラ栽培を始めました。
当初は、春取りといって春にしか収穫しない栽培技術しかあ りませんでしたが、後に夏取りという栽培技術が取り入れられて、夏から秋にかけて継続して収穫出来るようになったんです。おかげで長い期間出荷することが 出来、安定した収入を得るにも最適だったんですよ。
Q. 美味しいアスパラガスを作るための “工夫“や“ひけつ”はありますか?
A. 有機質肥料を中心にして、じっくりアスパラと向き合って作っています。環境への影響や、食べてもらうお客さんのことを考えて除草剤は使わず、大変でも草取 りはすべて手作業で行っています。
Q. 緑、白、紫と、3種類のアスパラガスは同じ品種なんですか?
A. グリーンとホワイトは「ウェルカム」という品種ですが、紫だけが違います。紫には「はるむらさき」という県のオリジナル品種がありますが、私は商品化され る前の試作段階で手に入れたものをずっと作り続けていますので、「はるむらさき」と言っていいのか・・・、当時はまだ名前がついていなかったので、はっき りしたことは正直わかりません(笑)ちなみに、グリーンとホワイトのアスパラガスはユリ科ですが、紫はアブラナ科の植物なんですよ。
それぞれの栽培方法で 特徴的なのは、ホワイトアスパラガスです。若芽の時から収穫まで一切光があたらないように、ハウスの内側に遮光資材を張って完全に光を遮って育てます。だ から収穫の時も、ヘッドライトで手元を照らしながら真っ暗の中で収穫するんですよ。
光に当てないから、白くなります。だから、ホワイトは生育の途中で、光 に当てれば、緑色になって普通のグリーンアスパラガスになってしまいます。ちなみに紫も光に当てなければ紫にはなりません。
Q. それぞれのオススメの食べ方はありますか?
A. グリーンは一般的でとにかく人気がありますが、ホワイトも甘くておいしいし、どっしりと重量感もあり、食べ応えがあります。
紫は、生でも食べられるほど柔らかく、しかも栄養価もグリーンに比べて高く、ポリフェノール(アントシアニン)とビタミンがグリーンアスパラのおよそ10 倍近く含まれています。
私 がオススメしたい食べ方は、ホワイトなら太いものが多いので、斜めに切ってバターで炒めて、シンプルに塩コショウ。紫はみずみずしくて軟らかくて甘いの で、是非「生」で食べて見てください。グリーンの細いものは、熱湯にサッと通し、ニンジンとタラをめんつゆに1時間付け込んで食べると、簡単ですが美味し いんですよ。ピザにのせて食べるのもオススメです。3色そろえばアスパラだけでも彩りが華やかになります。
Q. 「ふくしまの食」と聞いて、どんなことが頭に浮かびますか?
A. 福島は昼と夜の温度差がしっかりあるので、甘くておいしい農作物が出来るんです。美味しいアスパラを育てるのにも、温度差は重要なんですよ
Q. 「ふくごはん」プロジェクトは、震災と原発事故をきっかけに、改めて福島の食の魅力を伝えたいと始まりました。レエ子さんの毎日の生活や、特に農業に関わ ることで、震災や原発事故のあと、大きな変化はありましたか?
A. 一時期は、風評被害によってアスパラが売りにくくなったり、売れても価格が安かったりしました。直売所でもお客さんの数がめっきり減り、さびしく感じまし た。
また震災直後は、国の指示で県内一律に、特定の野菜の作付けが制限された時期があり、種を蒔きたくても蒔けなくて歯がゆい思いもしました。でもその 後、再び栽培出来るようになり、アスパラも含めて南会津の野菜を東京にいる娘に送ってやったら「やっぱりおいしい!」と喜んでくれて、そして、自分の田舎 の野菜の美味しさや安全性を、一生懸命周りの人や友人に宣伝してくれました。本当にうれしくて、励みになりました。
Q. アスパラガスを食べてくれる人たちへの、一言をお願いします。
A. 「南会津のアスパラは、甘くておいしいよ~、いっぱい食べてね」
(と、素敵な笑顔付きで言ってくれました!)
<アスパラガスを購入できる場所>
JA が運営する町の駅「ふるさと物産館」で購入できます。
詳しくは こちらから→http://www.aiduminami.or.jp/tyokubaijo.html
JAの HP→http://www.aiduminami.or.jp/
町の駅ブ ログ→http://machieki-minamiaidu.seesaa.net/