第5回 〜味噌づくりは1300年前から続く、 日本人のロマン〜 田島土っ子farm 湯田浩和さん(南会津町)

「田島土っ子farm」の湯田浩和さんは、トルコキキョウやカラーなどを育てる花農家の傍ら、冬の期間は町内産の材料にこだわった手 作り味噌を作っています。いまの姿からは想像も付かない、発電所の建設(!)という職でサラリーマン生活を送ったあと、お祖父さんが亡くなった ことをきっかけに、地元に戻ってきたそうです。湯田さんの作る味噌は愛情たっぷりで甘みとコクがあり、地元からは、店のある場 所にちなんで「田部の味噌屋」と親しまれています。

 

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Q. 味噌づくりのきっかけは何でしたか?
A. 実は本業が花農家なので、雪深い冬には仕事をするのが難しい環境でした。パートさんに年間を通して働いてもらえる環境を作る為に、12月~4月までの期間 に出来ることはないかとうちの両親が考え、今から9年前に味噌仕込みを始めたのがきっかけです。2年前からは、私が後を継ぎ、二代目としてやっています。

Q. 美味しい味噌を作るための、“工夫“や“ひけつ”は何かありますか?
A. どんなものでもそうですが、素材が基本だと考えています。大豆・米といった原材料は町内と会津地域内で調達しています。その土地で出来たもので作る事と一 つ一つ真心をこめて仕込む。ひけつはそれだけです。

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Q. たくさんの種類の味噌がありますが、それぞれの特徴や、美味しく食べる方法を教えてください。また、製造方法には何か違いがあるんですか?
A. いま「田島土っ子farm」では4種類の味噌を販売しています。
「あやこがね味噌」は、滑ら かな舌触りで、甘みとコクが強い味噌。味噌汁にお勧めです。「ふ くいぶき味噌」は、福島県が推奨している大豆、「ふくいぶき大豆」で作った味噌です。この大豆は通常の大豆に比べて約 1.5倍のイソフラボンを含んで いるため、「あやこがね味噌」に勝る味の良さが自慢です。ただ、残念ながら来年から栽培されなくなってしまうため、今年の仕込み分でお別れとなります。 「青豆味噌」は、青豆を使用した珍しい味噌です。うちの祖母が「昔は青豆で作ってたんだ~」と話していたのを聞いて、作ってみ たものなんです。シンプルな 味で、料理や煮物に良く合います。 「雑穀味噌」は、「あやこがね味噌」にあわ・ひえ・きびの3種類の雑穀を混ぜて熟成させた味噌です。雑穀の甘みに加えて、その 栄養価の高さが特徴です。 それぞれ450~400gの小さいサイズも売っていますので、味を比べてみるのも面白いかと 思います。皆さんのお気に入りを見つけてください。

Q. 味噌つくりは、毎日のなかでどんな存在だと思いますか?
A. 仕事である以上に、ロマンを感じる瞬間です。味噌は約1300年前から日本人の食で使用されています。その時代ごとに役割や価値観の変化はありますが、未 だに存在しています。味噌を仕込みながら、「初めて味噌を食べた人は勇気あるな~」とか「最初はどんなふうに作られたのかな~」とか想いを巡らす瞬間で す。新しい事に取り組んでいる時とは違った楽しさがあります。

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Q. 「ふくしまの食」と聞いて、どんなことが頭に浮かびますか?
A. わたしにとっては、まさに故郷の味です! やはり素材の良さを一番に思い浮かべます。
Q. 「ふくごはん」プロジェクトは、震災と原発事故をきっかけに、 改めて福島の食の魅力を伝えたいと始まりました。 湯田さんの味噌つくりにおいて、震災や原発事故のあと、大きな変化はありましたか?
A. 震災直後に一番心配したのは顧客の方々の安否でした。もともと宮城県に顧客の方が多くいましたし、味噌を始めた頃から応援して下さっていた方々とは大変親 しくさせて頂いていたからです。 私たちは「振り向いて下さった方を大切にする」を一番大切にしています。 「福島」と聞いてその食材であったり、人間を避ける人はいるのかもしれませんが、幸運にも私の周りには応援してくださる方が圧倒的に多くいらっしゃいま す。 まだまだ頑張れる環境があり、応援して下さる方がいる。 震災前より将来的な夢が見え、前進できる可能性が多くある様に感じます。

 

Q. 震災の後で、味噌つくりや販売に関わることで、思い出深い出来事はありましたか?
A. やはりいつもと変わらぬ声でお客様からご注文頂く事が非常に嬉しく、心の底から感謝する瞬間です。味噌造りに関して変わった事は、味噌やその材料の線量検 査を行わなければならない事です。これもお客様に安心して頂く為と思い、その都度行っています。ちなみにこれまでうちで使っている材料から放射性物質は検 出されていません。

 

Q. 最後に皆さんに一言!
A. うちの味噌造りには、特別な技法も機械も使っていません。昔ながらのやり方で、昔ながらの材料で作った味噌です。
お客様から「田舎を思い出す」「子供が味噌汁をおかわりするようになった」といった声を貰えることが、私たちの活力につながっています。
世の中には、売りやすくする為に化学の力でコントロールされている食品も多くありますが、「土っ子田島farm」ではなるべく無添加で、安心して食べられ る食品作りにこれからも取り組んで行こうと思います。
皆さん、機会がありましたら是非お試しくださいませ!

<「土っ子田島farm」の味噌を購入できる場所>

道の駅田島、やまなみ(田島駅)、祇園会館、リオ ンドール、街の駅(いずれも南会津町)
またホームページでのネット販売もしています。
「土っ 子田島farm」 http://tutikko.o.oo7.jp/