第7回 〜2年目の風評被害との戦い〜きゅうり農家 大河原一雄さん(須賀川市岩瀬地区)

「きゅうり天王祭」に「きゅうりん館」、「きゅうりそうめん」・・・。“きゅうり”なしでは語れない!須賀川市の旧岩瀬村で、地元な らではの「岩瀬きゅうり」を育てている大河原さん。もうすぐやってくる、真夏の暑い陽射し。ますます、キリッと冷やしたみずみずしいきゅうりが恋しくなる 頃です。

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Q. きゅうりを作り始めてどのくらいになりますか?また、きっかけは何でしたか?
A. 5年目です。子どもを授かったのをきっかけに、きゅうり農家になりました。それまでは団体職員(農協)だったんだけど、子どもの成長をゆっくり見守りたい と思ってね。もっとも、オレは農家の長男だから、いつかは農業を継がなければとは思っていたんだ。一番の理由はそっち(笑)。ちいさいときは、消毒とかは 手伝っていたしね。そんなので刷り込まれていたのかな。きゅうりのほかに、なすや米なども作って生計を立てています。

Q. 美味しいきゅうりを作るための “工夫“や“秘訣”はありますか?
A. 極力、自然農法に近づけています。うどん粉病にかかるかかからないかのギリギリのところまで、農薬を減らして栽培しています。減農薬栽培がこだわり。きゅ うりをまっすぐに育てるにも、紐吊り栽培にして、きゅうり自体の重さでまっすぐに伸びるようにしています。まあ、多少は曲がるけどね。  消費者にも、安心・安全なおいしいきゅうりを提供できるよう愛情を込めて栽培しています  きゅうりは最盛期になると、朝晩の2度収穫しなければならないのでてんてこ舞いです。でも、他の作物の世話もあるので、毎日きゅうりの面倒がみてやれな い。収穫するだけで、きれいに手入れしてあげられないから、収穫しながら「ごめんな」ってきゅうりに謝っていますよ。

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Q. 「岩瀬きゅうり」と、ふつうのきゅうりの違いは何ですか?
A. 須賀川市あたりで栽培されている7〜8種類のきゅうりがありますが、須賀川の岩瀬地区で採れたものが岩瀬きゅうりです。土の恵みと水がおいしさの理由だと 思います。バランスのとれた水分と硬さ、パリッとした歯ごたえと食感。それが僕にとっての「これぞ岩瀬きゅうり」ですね。

Q. おすすめの「岩瀬きゅうり」の食べ方を教えて下さい!
A. 採れたてもおいしいけど、しっかり冷やして生で食べるのが一番だと思うな。収穫から2~3日冷蔵庫に置いておいたやつもうまいよ。ちょっと意外でしょ?  それとおススメは、うちのかあちゃんが作ってくれる田舎煮かな。きゅうりを砂糖としょうゆでくたくたになるまで煮て、冷ましたやつ。おいしいよ~、ごはん がいくらでもいけちゃう。

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Q. 「ふくしまの食」と聞いて、どんなことが頭に浮かびますか?
A. 何を食べてもうまい。米もフルーツも、そしてきゅうりもね。水と土がいいんだと思うよ。それがすべての作物の根っこだからね。

Q. ふくごはん」プロジェクトは、震災と原発事故をきっかけに、改めて福島の食の魅力を伝えたいと始まりました。大河原さんの毎日の生活や、特に農業に関わる ことで、震災や原発事故のあと、大きな変化はありましたか?

A. 直後は、地元スーパーさんの支援を受けられたので、売り上げ自体はまったく変わりませんでした。3月は、きゅうりが市場になくて、値段もある程度安定して いる時期なんですよ。ちょうどそのころで、しかも支援を受けられたのが幸いでした。でも、今は売り上げがガクっと下がっています。ここから、どうやって売 り上げを伸ばしていくのか、課題が多いですね。  今まで経験したことのない放射能という未知のものとの戦い、それだけでも手一杯。生産者が安全を証明しても、それが消費者になかなか届かないし、流通に も載らない。歯がゆい思いをしています。

Q. 大河原さんにとって、農業とは、毎日のなかでどんな存在だと思いますか?
A. 人が生きていくうえで最も大事な原点である「食」に携わることができ、その良い点、悪い点が見えるところが農業の一番のおもしろみだと思う。まだまだ、親 父がバリバリの現役なので、オレはまだひよっこ、丁稚のようなものです。親父が引退してその後を継いだときが、本当の意味でオレの農業の始まりだと思いま す。今は、勉強をしている途中ですね。

Q. 最後に、岩瀬きゅうりを食べてくれる人たちへ、一言お願いします。
A. きゅうりの美味しい食べ方や「おいしいさ」を消費者の方に知ってほしい。食べて「おいしい」と思ったら、それを他の人にも伝えてもらいたい。ぜひお願いし ます。

 

<岩瀬きゅうりを購入できる場所>

ファーマーズマーケット「はたけんぼ」
(株)ジェイエイあぐりすかがわ岩瀬

〒962-0053須賀川市卸町54番地
営業日・営業時間などの詳細については、下記連絡先へお問い合わせ下さい。
TEL 0248-73-5261  FAX 0248-63-8180