第11回 〜産地としての成長と成熟〜 南郷トマト研究部のみなさん
今回の生産者の声は特別編 いつもはひとりの農家さんにスポットをあててますが、産地で関わる方々の声を届けたいと思います。 お答え頂いたのは、地元の生産者さんとそれに関わるJAの営農指導員の方にお話をお伺いしました。
Q. 福島県では、ブランディングされた産地はめずらしいですが、『南郷トマト』は今年で何周年になるんですか?
A. おかげさまで50周年になります。
産地として全国に認めてもらうためには、お客様からの信頼が必要ですし、ある程度の量が必要に なります。
そのために今、120名の生産者で年間に約2,800tの生産をしています。 多い時で1日60tのトマトを京浜地区中心に出荷しています。
Q. 120名のメンバーのみなさんは、地元の方々なのでしょうか?
A. いいえ、約1割が他県からの新規参入者です。もちろん、地元で、親の代から作っている生産者さんもいますが、南会津地域も他の地域同様、過疎化に悩んでい ます。
『南郷トマト』として、続けていくためには、次世代の担い手が必ず必要になります。そこで、町や県など行政とJAそして南郷トマト生産組合が一体と なり助成金制度や研修制度を作ったりして、Iターン者やUターン者を受け入れたりしています。
この研修制度にのって就農された方達が、家を新築したり、子育てをしたりできるよう日々、努力ですよ。
Q. 本日の取材の際に、そのみなさんが集まっている研修を拝見させて頂いたのですが、ひとつの作物について、熱く語りあってましたね。
A. 他の地域では農家同士でこんな風に討論することは珍しいかもしれませんね。生産者同士は、ライバルでもあるんですが、お互い苦しいとこは一緒だし、今 年の出来とか悩んでいる事って実は似ていて、一度、畑に入ってしまうと孤独な作業が多かったりするので、こういう機会をJAで作ってもらうともう勉強会は 決起集会になっています。最後は酒飲んで、ああでもないこうでもないって話になるんだけどね(笑)
Q. 『南郷トマト』はどんな特徴があるのでしょうか?
A. 『南郷トマト』は「桃太郎ギフト」という品種を使っています。味へのこだわりは他のどこの産地にも負けません。品種を選ぶときも、たとえ作りづらくても味 の良い品種を選んでいます。それはお客様に「おいしい」と言ってもらうためです。
昼夜の寒暖差など南会津の風土を利用して、夜は涼しくゆっくり休んでも らって、昼間はしっかりと日に当て、成長してもらうことで、おいしいトマトができるんですよ。
もうひとつ、おいしくなるポイントは、豪雪地帯なので冬の間に雪を雪室に蓄えておいて、収穫したトマトをその雪で冷やした雪室(ゆきむろ)という冷蔵庫 に入れて、一晩熟成をさせていることです。
Q. 話は少し戻りますが、一日に60tもあると出荷するのも大変ですね。
A. そうですね。そのために選果場の運営にも力を入れています。選果・選別では、まず人の目で検査して、そのあと機械でも検査して、2重にチェックをし、さら に糖度計で全部のトマトの糖度を測って出荷しています。雪室も品質保持のために大いに役立っています。
選果場は、多くの地元の人の雇用の場になっていま す。どうしても、地方だと雇用の場が限られていますからね。選果場があることによって農業にまつわる仕事が増えて、地元の人たちにも還元できていると思い ます。 規格外のトマトで加工品を作ったり、様々な形でお客様に喜んでもらえるように工夫をしています。
Q. 『南郷トマト』はこれからどうなっていくのでしょうか?
A. これからもみんなで力を合わせて、ひとつひとつトマトを大切に作っていくことは変わらないですが、『南郷トマト』には、本当に多くの方々に関わっていただ いているので、それぞれの思いをやりたい方向へと手助けしたり、先輩たちから学んだことを後輩たちに繋げて、これから50年100年と続けていけるように していきたいと思いますし、そのために、まずはお客様と生産者を繋ぎ、究極はお客様とお客様を繋ぎ『ここにしかない価値』で、人と人を結ぶ輪をつくってい けたらと思っています。
10月の「南郷トマトまつり」や最終収穫終了時の「もだっくしツアー」など、いろんな地域の方々が、わざわざ当地域に足を運び食べにきてくださったりとこれからも様々な形で南郷トマトを食べてもらいたいですね。
南郷トマトが購入できる場所 南郷トマト
HP→http://www.nangotomato.jp/index_pc.html
南会津物産HP→http://www.minami-aizu.com/bussan/2.html
南会津町の駅 →http://www.aiduminami.or.jp/tyokubaijo.html
ふくしま新発売→http://www.new-fukushima.jp/archives/15070.html
「南郷トマト」はJA会津みなみの登録商標で地域の大切な財産です。 http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/jirei_pdf/2009-04_5015204.pdf