第12回 〜「会津小菊南瓜(かぼちゃ)」の復活に取り組んで〜 会津伝統野菜 長谷川純一さん (会津若松市)

会津伝統野菜の「会津小菊南瓜」をご存知ですか? 会津伝統野菜とは来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主役・新島八重も生きた時 代に、今の会津地方で育てられていた野菜のことで、「会津小菊南瓜」のほかにも「会津余蒔キュウリ」「アザギ大根」「舘岩蕪」など14品目があります。今 回はそういった会津伝統野菜の復活に挑む、会津若松市の農家、長谷川さんにお話を伺います。

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Q. 会津小菊南瓜を作り始めてどのくらいになりますか?また、きっかけは何でしたか?
A. 「会津小菊南瓜」は古くは江戸時代頃から会津地方に伝わるもので、およそ350年前から会津若松市の門田町飯寺地区を中心に「飯寺(にいでら)カボチャ」 として栽培されてきたとの記録もあります。
自分がこの小菊南瓜を本格的に作り始めたのが4・5年前からです。
当時あまり見向きされない在来種でしたが、その価値を再認識し、守り続ける事が大事だと思ったのがきっかけです。会津小菊南瓜と同じように、古来より会津 地方に伝わる在来種をまとめて「会津伝統野菜 」と呼んでいます。
自分は他にも、「会津余蒔(よまき)キュウリ」や「荒久田茎立(くきたち)」を主に作っております。寄巻キュウリは、現在、種を守り続けていたのが、我が 家だけで、栽培しているのも私の所だけとなっております。

 

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Q. 美味しい小菊かぼちゃを作るための “工夫“や“秘訣”はあるんですか?
A. 出来るだけ土づくりを丁寧にしたいので、堆肥・ぼかし肥料を自分の手で作り上げています。また完熟にするために、球のどの面も日当たりよくなるよう、時々 球を転がしながら育てているんですよ。

Q. 「小菊かぼちゃ」と、ふつうのかぼちゃの違いは何ですか??
A. 一般的に現在は「栗かぼちゃ」という、ホクホクして甘いかぼちゃが主流ですが、小菊南瓜はネットリとした食感で、他にはないと思います。

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Q. おすすめの「会津小菊南瓜」の食べ方を教えて下さい!
A. 煮付けが一番です。冬至かぼちゃを食べると一年中風邪をひかないと伝わっています。
また、記録によると、籠城の際、丸ごと釜でゆでて食べた様です。

Q. ふくしまの食についてどう思いますか?
A. 大自然に育まれた、米・野菜・各地方に伝わる伝統料理の宝庫だと思います。

Q. 「ふくごはん」プロジェクトは、震災と原発事故をきっかけに、改めて福島の食の魅力を伝えたいと始まりました。長谷川さんの毎日の生活や、特に農業に関わ ることで、震災や原発事故のあと、大きな変化はありましたか。
A. 福島を応援したい!!会津を応援したい!!という声は多く聞いて、とても嬉しいのですが、一方、実際にはスーパーマーケットを探しても福島の野菜をほとん ど目にしないという現実があり、とても悲しい事だと思います。

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Q. 震災について思い出深い出来事はありましたか?
A. やはり、人との出会いです。南相馬市で被災された方が、こちらに避難してきて、そして「会津で他の農業をしたい」と言って頂いて一緒に仕事をしておりま す。今では自分の家族のようです。父親を早く亡くしているため、父親代わりとしても助言を受けております。

Q. 長谷川さんにとって、農業とは、毎日のなかでどんな存在だと思いますか?
A. 生活の糧であり、人々に伝えることの出来る仕事です。

Q. さいごに、会津小菊南瓜を食べてくれる人たちへの、一言をお願いします。
A. なつかしい~~。日本らしい~~。
と、思って感じて頂ければ幸いです!

 

<会津小菊かぼちゃを購入できる場所>

現在購入できるところはありませんが、来年一月にはスィーツとしてお披露目になる かもしれません。