第14回 〜農家の代弁者として、ふくしまの果物を全国へ届ける〜 有限会社くだもの畑 代表取締役 磯部健一さん(福島市)

福島県は野菜だけでなく、全国屈指の果物の名産地! なかでも福島市は県庁所在地でありながら、「花もみもある福島市」「いで湯とく だものの里」というキャッチフレーズを持つほど、果物が豊富な土地だ。今回はそんな福島市で、果物の美味しさを全国にアピールしようと奮闘する果物販売店 「くだもの畑」の経営者・磯部健一さんにお話を伺いました。

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Q. 「くだもの畑」はどんなお店ですか?
A. 「くだもの畑」は契約農家さんから果物を買い取って、福島市の旬の果物を販売しているお店です。店内には、果物や果物を使用した商品などがズラリと並んで います。僕は、福島市の果物の魅力を実際に見て、聞いて、そして何より味わってもらうことが大事だと思っているので、お客様にはたっぷり試食してもらって います。ソフトドリンクも無料ですよ!ゆっくり、のんびり、気軽に、福島の果物を食べに立ち寄ってもらいたいですね。

Q. 「くだもの畑」を経営し始めてどのくらいになりますか? また、どんな想いで経営されていますか?
A. 僕が脱サラして「くだもの畑」を始めたのは、約10年前になりますね。福島市の果物は本当に美味しいけれど、その認知度があまりにも低いと感じていまし た。例えば全国で一番目に高い山を聞かれたら、富士山だとすぐ分かるけれど、二番目に高い山を聞かれたらイマイチ分からないのと同じ。美味しい果物の産地 を聞かれたら、すぐに福島県を思い浮かべてもらえるように、福島市の果物を全国にアピールしていきたい! そんな想いで経営しています。

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Q. 現在、契約農家さんはどのくらいいらっしゃいますか? また、どんな果物を販売していますか?
A. 契約農家さんは約20人です。いまは、さくらんぼ、桃、なし、西洋なし、りんご、あんぽ柿、ぶどうを販売しています。どの果物も品種が5種類ほどあるの で、合計すると30~40種類の果物を扱っていることになりますね。だから、1年を通して果物が途切れることはありません。他にも、「ハニービー」という ジェラードショップを経営していて、規格外の果物までキレイに使うようにしています。農家さんが愛情込めて作った果物だから、余すところなくお客様に味 わってもらいたいんですよね。

Q. 今回は磯部さんに、11月のメイン食材であるりんごの農家さんをご紹介いただきました。農家さんとやりとりをする中で特に心掛けていることはありますか?
A. 市況に左右されず、安定した単価で果物を買い取るということですね。安定した収入があれば、農家さんたちもより安心して果物づくりに取り組めると思いま す。だから、震災後も震災前と変わらない単価で買い取り続けています。

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Q. 「ふくごはん」プロジェクトは、震災と原発事故をきっかけに、改めて福島の食の魅力を伝えたいと始まりました。磯 部さんの毎日の生活や、特に農業に関わることで、震災や原発事故のあと、大きな変化はありま したか?
A. やはり立ち寄ってくださるお客様の数が、顕著に減ってしまいましたね。ここ最近は、近隣の県の方々は戻り足の傾向にある気がしますが、関東圏の方々は相変 わらず減ったままの状態が続いています。とても残念です。

Q. 震災後、特に思い出深い出来事はありますか?
A. 「くだもの畑」の馴染みのお客様から、100件を超える励ましのメッセージをもらったことですね。近所の方から「大丈夫かい?」と心配の電話をもらった り、県外の方から「また買いに行きます」と応援のメールをもらったり。こうしたお客様の声に何度も助けられました。正直、心が折れそうな時もあったけど、 くだもの畑がたくさんの方に愛されていることを実感できたことは、とても良かったです。 それから、ある農家さんの言葉も印象に残っています。「同 じ100万円でも、一生懸命作って、「おいしい」と言われて手にした100万円と、ただ作って、廃棄して、その補償として貰う100万円とでは、満足感が 全く違う」と。本当にその通りですよね。心に沁みました。

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Q.そういった様々な状況を受けて、どんな取り組みをされてきましたか?
A. 震災前はこの店だけで果物を販売していたわけですが、自ら果物を持って県外に販売しに行くようになりました。そのためには、場所の確保が必要ですよね。だ から、「くだもの畑」を「まちの駅」として登録して、県外のまちの駅の方々に協力してもらうといった工夫も凝らしました。もともとくだもの畑の店舗の形態 が、まちの駅としての条件をほぼ満たしていたので、より一層お客様が立ち寄りやすい環境に整えられたという点からも、これはとても有意義な取り組みになっ たと思います。

Q. 今後の目標、ビジョンなどがあれば教えてください。
A. やはり福島の果物の美味しさを「直接」お客様に伝えていく、そのことにつきますよね。今までも心掛けてきたことを、これからもコツコツと積み重ねていくこ とが大事だと思っています。 今回ご紹介したりんご農家さんもそうですが、うちと契約している農家さんは皆、真面目で実直で控えめな方が多いんですよ。だから、そんな農家さんたちの代 弁者として、果物の美味しさを全国にアピールしていきたい。作ってくれる人にも、食べてもらう人にも、満足感を得てもらうことが目標です。

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Q. 最後に一言。
A. 福島を引き続き応援してください。福島県が震災前のように自立するには、まだまだ時間がかかります。もうしばらく、ひいきめに応援していただけると 嬉しいです。私たちも、安全で美味しい果物を提供できるよう頑張ります。

 

くだもの畑のサイト

http://www.kudamonobatake.jp/