第2回 ~希望のいちごを復興のシンボルに~
苺栽培 和田観光苺組合 (相馬市)
毎年春にはいちご狩りを楽しむ子どもたちや家族連れで賑わう、県内でも有数の観光名所・相馬市でいちごを育てる農家の集まり。東日本 大震災によって、いちごを育てるビニールハウスや畑を大津波が襲い、海岸近くにある直売所は天井近くまで水に浸った。しかしボランティアの力も借りて畑の 再生に取り組み、2011年12月からは直売所、そして年明けには子どもたちが待ちに待った苺園の再開を果たした。
Q. 和田観光苺組合さん達にとって農業とは。
A. 当初は生活の基盤として考えていましたが、今では相馬市の観光の一躍を担っていると自負しています。また震災後は、地元の農業の復興への足掛かりと考えて います。
Q. 美味しいいちごを作る上での、こだわりを教えてください。
A.出来る限り有機質の肥料を使って、「甘~い」と言われるような味になるよう努力しています。
Q. 「ふくしまの食」と聞いて、何をイメージしますか。
A.震災前は、相馬の海で捕れる魚が自分たちの誇りでした。東京の市場でも有名となっていたそうです。しかし、原発事故のあと福島県沖は漁が出来ない状況 が続いており、非常に残念に思います。私たち農家は、放射能による風評被害を克服しようと、正確な情報を出すように努力しています。食の安心・安全が非常 に注目されるなか、特に放射性物質には気を使って検査を行い、問題の無いものしか販売していません。安心して食べて下さい。
Q. 今回提供して下さった、いちごのこだわりは?
A. お客さんに食べてもらって、美味しいといわれる品種を導入して栽培しています。和田観光苺組合のビニルハウスで栽培している品種は主に、章姫(あきひ め)・さちのか・とちおとめ、ふくはる香・紅ほっぺ・アスカルビー。なかでも「ふくはる香」は福島生まれの品種。充分な甘さと、それを引き立てる酸味を感 じることのできる舌触りなめらかで豊かな香り広がるのが特徴です。
Q.「ふくごはん」プロジェクトは、震災と原発事故をきっかけに、改めて福島の食の魅力を伝えたいと始ま りました。震災や原発事故の影響はありましたか。
A. 影響は多いにあります。津波の被害を受けた直売所も畑も再開しましたが、いちご狩りに訪れる若い人や子供たちは少なくなってしまいました。
Q. 震災の後、農業に関して、何か思い出深い出来事はありましたか。
A. 3月11日の大震災と引き続いた津波で直売所は全壊し、いちごのビニルハウスも津波の大きな被害を受けました。しかし、全国から1000名を超える方々が 畑に溜まったがれきや泥を撤去するためにボランティアに来てくれ、私たちの農園再開に大きな力を与えてくれました。
Q. 最後にひと言。
A. 私たちの取り組みは、23年前、東北初の取り組みとしてスタートしました。震災前は、相馬といえば、観光・魚・いちごといわれるほど大きな役割をしており ました。しかし震災後は、観光も魚も復興できずにいます。私たちのいちごが、相馬の復興のシンボルになりたいと思っています。
<いちごが購入できる場所・サイト>
◇和田観光苺組 合
住所:福島県相馬市和田字下柴迫94
入園受付時間:10:00~16:00(30分食べ放題)
開園期間:1月上旬~5月末まで
定休日:日曜・祝日の翌日
TEL:0244-36-5535
URL:和田観光苺組合のBLOG http://blog.wadakanko-ichigo.jp/