「純米酒」
今月の日本酒 「純米酒」
本田) 脇さん、今回のお酒は「純米酒」ですね。このお酒は温度によって印象がすごく違います。
冷蔵庫でキンキンにするとキリッとして、常温だとゆったりとした印 象に。 4月の酒コラムで登場した特別純米酒と今回の純米酒と、味や香りの感じ方が違いますが、何が理由なんでしょうか?
脇坂) 「特別純米酒」と「だぢゅー」と今回の「純 米 酒」。これで、このコラムに純米酒が3種類登場しましたね。
今回の純米酒は「協会酵母701」という名前のものを使用してます。お酒の大きな特徴として、 後味にきれいな「酸」があります。この酸があるおかげで、旨味が強くても後味がスッキリとしたお酒になるんです。
冷蔵庫でキンキンに冷やすと、旨味が弱く なって酸が強く感じるようになるので、とてもスッキリ、キリッとした印象に感じると思います。
本田) そうなんですね、酵母の違いが出来上がったお酒にも大きな違いを 生 むんですね。同じ純米酒とはいえ、こんなに味の差が出るって不思議です。
ところで「協会酵母701」とは、どんな酵母なんでしょうか? 酵母に興味を持っ てしまうのは、料理家のサガ・・・(笑)。
脇坂) まず協会酵母とは、日本醸造協会が全国の蔵元 に提供している日本酒や焼酎、それにワインの酵母菌のことです。
いろいろな種類がありますが、今回の「協会酵母7号」は清酒用の酵母で、長野県諏訪市の 『真澄(ますみ)』という銘柄の醪(もろみ)から分離されたものです。
醪というのは、酒造りの工程のなかで、清酒を絞る前の状態をいいます。醪を絞ってと れたものが日本酒に、残った方が酒粕になるんですよ。 日本酒の味は、この醪(もろみ)の温度管理によって大きく違いが出ます。温度が高い状態を維持すれば発酵が強くなって辛くなりますし、低ければ甘みが増え ます。
一方、香りは酵母によって違いが生まれ、その他に、お米の種類や削り歩合、仕込み水でも変わってきたりします。
お酒は、蔵元の名前で語られることが 多いのですが、一つの蔵元でも沢山の銘柄があって、味も香りも違います。
ぜひ、選ぶ楽しみを知ってもらいたいなと思います。
本田) 酵母って奥深いんですね。
まだまだ知らないことが山ほどありそうです。花泉のお酒も1つずつ掘り下げて、いろんな種類を飲んでいくと楽しそうですね。
さら にグラスやお猪口など、酒器によっても香りや口当たりは変化しますし、温度を変えていくとまた違った楽しみがありますよね。酸味やうまみの感じ方も変わっ て来ると思うんです。
脇坂) その通り! お酒は、たった1つの銘柄でもシュチエーションに よっ てさまざまに変化します。だから、料理に合わせる楽しみが生まれるんだと思います。
本田) そこが日本酒の醍醐味なんですよね(笑)。
今 月はそんな純米酒を南会津産のアスパラガスと合わせてみました。このお酒は甘くてジューシーなアスパラガスによく合うと思うんです。南会津産のアスパラガ スはグリーン・ホワイト・パープルと色も鮮やか。さらに今回は、地元の味噌を合わせていこうと思っています。
どんなレシピになるかお楽しみくださいっ♪
脇坂) さすが本田くん! 味噌もお酒も同じ発酵食品 なので、お酒との相性がとってもいいんですよ。期待しています!!!
◎酒造り豆知識
「純米酒」
酒造りの工程で醸造用アルコールを添加せず、米と米麹だけで出来た酒のこと。
・麹米 喜多方産「五百万石」
・掛け米 南会津舘岩産「タカネミノリ」
・四段米 南会津産「ヒメノモチ」
・酵母 「協会701」
・アルコール度数 16度
・容器容量 1.8L 720ml