「自然郷 七(セブン)」合名会社 大木代吉本店(西白河郡矢吹町)

今月の日本酒 「自然郷 七(セブン)」合名会社 大木代吉本店(西白河郡矢吹町)
『自然郷』誕生

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福島県西白河郡矢吹町。初代代吉は酒造りに適した良質の水を求めて、矢吹の地で酒造りをはじめました。以来、良いものを造るという精神は世代を超えて大木 家に受け継がれてきました。

 本来、酒は米と水のみを主原料とします。特に現在「純米」と名のつく酒は、米を蒸し、麹菌による糖化によってブドウ糖を作り出し、その糖分を酵母菌によ りアルコール発酵させ、その他の添加物は一切使用しない醸造法で作られたものです。
 しかし、戦後の混乱期、復員兵や引揚者により一気に人口が増加し、あらゆる物資が不足する中、酒造りも例外なく原料米の不足に陥りました。 その中で生み出されたのが「三倍増醸酒」いわゆる三増酒でした。三増酒は、米と米麹で作ったもろみに清酒と同濃度に水で希釈した醸造アルコールを入れ、こ れに糖類(ぶどう糖・水あめ)、酸味料(乳酸・こはく酸など)、グルタミン酸ソーダなどを添加して味を調えた酒です。こうしてできた増醸酒は約3倍に増量 されているため、三倍増醸酒・三倍増醸清酒などと呼ばれたのです。三倍増醸清酒は、そのままの状態で出荷されることはなく、アルコールを添加した清酒など とブレンドされて製品化されました。
 ところが、米不足が解消されてから後も、酒造米の配給制度が続き自由に酒造米を購入できなかったこと、低コストで清酒を生産できるので利 益率が高いこと、大量に生産できるので高度成長期の消費拡大に対応ができたこと、消費者が米不足のため低精白になり雑味などが増えた純米酒よりは三倍増醸 清酒を好んだことなどの理由により、三増酒は戦後の清酒の主流であり続けました。
 四代目代吉は、世の中の流れとは言うものの、この三増酒に強く疑問を持ち続けていました。そして、あるとき有機肥料で米を栽培する篤農家 と出会います。彼の思想は、創業以来の大木代吉本店の理念である「郷土の自然を愛する心」、酒本来の味わいを取り戻すべきだという代吉の想いとピタリと合 致し、ここに「自然郷(しぜんごう)」ブランドが誕生しました。昭和48年(1973年)、清酒の消費量がピークを迎え、三増酒が全生産量の90%以上を 占める時代のことでした。そのため「自然郷」は発売当初、市場になかなか受け入れてもらえず、厳しい時代が続きました。しかし、1980年代に入ると地酒 ブームの後押しもあり、消費者の嗜好が清酒本来のもつ天然の奥深い味わいへと傾き、特に「純米酒」が注目されてくるようになりました。純米酒の先駆けとな り、その後も頑なに清酒本来の酒造りに徹してきた「自然郷」がやっと市場で受け入れられるようになりました。
 現在2011年の東日本大震災で大きな被害を受けましたが、新しく蔵を建て直し、新しい環境で酒造りを再開できることが出来るようになり ました。そして地元に根ざした純米酒のパイオニア精神は五代目大木雄太社長に受け継がれ、五代目を中心に深みとキレの良さ、そしてバランスのとれた純米酒 を造るべく日々努力しております。

この「自然郷 七(セブン)」はオール福島にこだわった純米吟醸です。

七つの誓い

1、 環境にやさしい特別栽培米
2、 放射能は玄米で10ベクレル以下
3、 福島の酒造好適米「夢の香」を使用
4、 仕込み水は那須の伏流水(当社下水)
5、 酵母はうつくしま夢酵母(F7-01)
6、 酒母立てはウルトラセブン
7、 造り手は福島県民

程よい旨味とのど越しの良さは、広いレンジの食事に合わせやすく、友人や宴席での会話のお供にも最適です。どうぞお召し上がり下さいませ。

●紹介頂いた方 : 大木代吉酒造 営業 富山貴広

・使用酒米 福島県開発酒造好適米「夢の香」100%
・酵母 うつくしま夢酵母F7−01
・精白歩合 60%
・酒度 +3
・アルコール度数 16度
・容器容量 1.8L  720ml

「自然郷」 合名会社大木代吉本店
西白河郡矢吹町本町9
Tel. 0248-42-2161 / Fax.0248-42-2162