「雪中貯蔵酒」

今月の日本酒 「雪中貯蔵酒」

sake_2012sep

本田) 脇さん、今月の酒は雪中貯蔵酒ですね。
実は先日、ふくごはんメンバーの何人かも集まって味わった雪中貯蔵酒(笑)。本当に美味しかっ たんですが、そもそも 雪中貯蔵酒ってどんなお酒なんですか? 名前からして、ふつうのお酒とは違いそうですけども……

脇坂) そうなんです。
読んで字のごとく雪の中で貯蔵しているお酒なんで すよ。

本田) へー、雪の中ですか。
何で雪の中で保存するんですか??

脇坂) 実は8年前、自分の庭に積もった雪の中に3ヶ月間入れてみたんで すよ。南会津は雪深いので雪の中に入れてみたらどうなるのかなと思ってやってみたかったんです。

本田) 南会津っぽいですね(笑)。
で、どうなったんですか??

脇坂) それを地元の飲み仲間と飲んでみたところ、甘みが増して、おいし くなったと評判だったんです。

本田) なるほどー。
でも、甘味が増したのって何でだったんですかね?

脇坂) 当時は分からなかったんですが、その後いろいろ調べた結果、雪の温度に秘密があることがわかりました。その前に・・・実は本田くん、雪の温度ってのは実は 零度じゃないんですよ。0.7度なんです。知っていました?

本田) へー! 知らなかったです。その0.7度がポイントなんです か??

脇坂) そうなんです。マイナスだと熟成が進まないんですが、
0度より高いと少しずつゆっくりと熟成が進むんですよ。それと雪ってわずかなんですけど振動しているので、その振動がお酒に伝わって、音楽を聴かせたり、 超音波振動を与えたりするのと同じ仕組みで、自然のゆらぎがお酒をやさしく美味しくしているんです。

本田) なるほどー。南会津の雪、自然がおいしくしているお酒なんです ね。

脇坂) その通り! 実は今月のテーマ食材の南郷トマトも、雪室予冷をかけているんですよ。同じように、冬の間に積もった雪を活用してトマトを冷やしているんで す。詳しくは今後、生産者インタビューで取り上げる予定ですんで、是非読んでください(笑)。

本田) 今までのお酒と比べると、アルコール度数が高いですね。

脇坂) これは原酒といいまして、造ったお酒のそのままのアルコール度数 なんですよ。花泉では、本醸造タイプのお酒は、約20度で造られます。その後で原酒以外のお酒は加水して、アルコール度数を下げてから出荷されます が、原酒と呼ばれるものは加水せずにそのままなんです。

本田) そうだったんですねー。もちろんそのまま飲むのもおいしかったで すけれど、ちなみに、どうやって飲むのがオススメですか?

脇坂) 加水してアルコールをおこのみに下げて飲むのもおすすめですが、私はロックで飲むのが好きですよ。よくお酒を水で割ったり氷を入れるのは邪道だという人も いますが、もともと水で割って販売されているものなので、もっと自由に楽しんでほしいと思うんです。

本田) それだったらこのお酒、奥会津の雰囲気の中で楽しみたいですね。 ふつうの水より花泉の仕込み水で割ったらおいしそうですし…。

脇坂) 本田くん、ナイスふり!(笑) このお酒を企画しているのは、地元の有志と南会津町の旧南郷村にある小売店とで立ち上げた「雪室冷酒の会」でして、毎年7 月の最終土曜日には「雪中貯蔵酒と郷土料理の夕べ」というイベントが南郷で開催されています。雪室から出せれたお酒と共に、南郷の郷土料理や南郷トマト、 伊南川の鮎などなど、旬の食材を使用した料理が楽しめるイベントで、全国から150名以上もの花泉党が集まるんですよ~(笑)

本田) わー、すごいですね! 
こりゃ、来年はぜひ僕も一皿、作らせてください!

・麹米 喜多方産「五百万石」
・掛け米  南会津舘岩産「タカネミノリ」
・四段米  南会津産「ヒメノモチ」
・酵母  「協会701」
・アルコール度数  20度
・容器容量     720ml

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