「だぢゅー」

今月の日本酒 「だぢゅー」

dadyu

本田) 今月のお酒は「だぢゅー」です。
何と言っても、気になるのはこのネーミング!
脇さん、そもそも「だぢゅー」ってどんな意味なんですか?

脇坂) だぢゅー」は南会津町の南郷地域の土着の言葉 で、軽く話を強調したい時に使います。
たとえば、南会津で「この酒、うまいんだぢゅー」と言う場合は、「この酒、すごく美味しい」って意味なんです。
どこにこのお酒を持って行っても恥ずかしくない、南郷を誇れる様なお酒でありたいという思いから名付けました。
本田) 素敵な由来ですね! 味も、余韻がとってもシャープで、キリリっとしたお酒ですよね。
脇坂) はい。「だぢゅー」は純米酒なんですが、その 酵母※には「うつくしま夢酵母」を使用しています。 グ ラスに注いだ時に、メロンやバナナのような香りがすると思いますが、それはこの酵母が持つ特徴なんですよ。

本田) なるほど。この濃厚な香りは、酵母によるものだったんですね。ところで“うつくしま”と言えば昔からの福島県のキャッチフレーズ。
もしかして「うつくしま夢酵母」は福島県だけのものですか?

脇坂) その通り!
「うつくしま夢酵母」も、前回のコラムで紹介した「特 別純米酒」で使っている「煌き酵母」と同じで、福島県が独自に開発したものです。福島県はおいしい酒造りのために、お酒の酵母や酒造好適米(日本酒造りに 適した米のこと)の開発に力をいれているんです。

本田) さすがは米どころ福島県、プライドを感じます ね。ところで「酒造好適米」という言葉は今回初めて耳にしたんですが、読んで字のごとく「お酒に適する米」と は、一体どんなものなんですか? 「普段食べている米」との違いは何ですか?

脇坂) お酒造りで大事なのは、お米の中心にある「心 白(しんぱく)」と呼ばれるデンプン質です。私たちが普段米を食べておいしいと感じているのは、米の外側にあ るたんぱく質や脂質なんですが、これらは酒造りの行程を経ると雑味に変わってしまいます。ですから、お酒造りでは米を蒸す前に、米の外側の部分を削ってし ま うんですよ。ということは、酒造りに使うには、粒が大きて、心白も大きい米がいいんです。このほかに「外硬内軟」といって、米を蒸した時に外側はさらっと 硬く、内 側は水分を保って軟らかいということも、大事な性質です。ちなみに酒造好適米は食べても、パサパサしていてあまり美味しくないですよ(笑)

本田) へぇ、そうなんですね。お酒を造るって、たくさんの行程を踏んで いるんですね。それに、食べてはおいしくないけど、お酒になると美味しくなるなんて不思議です。濃厚な飲み口とシャープな余韻が印象的な「だぢゅー」。い ろんな食事のシーンに合いそうですね。

◎酒造り豆知識
「酵母の役割」
お酒を造るためには、麹菌と酵母の力が欠かせません、まず麹菌による酵素が米のデンプンをブドウ糖に変えます(糖化という)。そして酵母は、そうやって出 来たブドウ糖を食べてアルコールを出します(発酵という)。日本酒は糖化と発酵をもろみ中で同時に行い、これを「並行複発酵」といいます。
酵母は、発酵に 関わるほか、日本酒の香りに大きく影響します。銘柄による香りの違いの殆どは、米の品種、精米歩合等ではなく、この酵母によるものとなります。

・麹米 ・掛け米 非公開
・四段米  南会津産「ヒメノモチ」
・酵母   福島県開発酵母 「うつくしま夢酵母」
・アルコール度数  16度
・容器容量     1.8L 720ml

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